ドラッカーから知る営業とは

目次

営業の「貢献」と「成果」について

ドラッカーが常に言っているのは「貢献」と「成果」のことです。営業は何で会社に貢献するのか?また、営業の成果とは何か?これを常に自分自身に問いかける必要があります。つまり、「会社が必要としていることは何か?」を常に念頭に置くことが求められます。そして、「営業としてその会社が必要としていることに対して、何が貢献できるかを問う」ことです。そして、その貢献をどのような「成果」として測れるのかを考えなければなりません。

成果に対する考え方と行動プロセス

ドラッカーは「成果が何であるかが混乱している状態では、成果は期待できない」(経営者の条件)と言っています。最終的な目標を達成するためには、その途中であるプロセス目標を達成する必要があります。つまり、目標の因数分解です。目標を達成するために、いきなり「何をするのか」ではうまく物事を進めることはできません。従って、以下の表を参考に考える必要があります。

どのような意味があるのか?
最終目標理想的な目標。数値化された状態。
マイルストーン(通過目標)目標に近づいていることが理解できる指標。数値KPI。
行動目標通過点にたどり着くために「努力の方向」と「努力の量」
行動計画「いつ」「何を」「どれだけ」
必要な能力どんな能力を努力して取得する必要なあるのか?

営業を野球に例えると

ドラッカーは「成果を上げることは習慣である。従って、他の習慣と同じように身に付けることができるものである。そして身につけなけらばならないものである。」(経営者の条件)

成果を上げる習慣を身につけるとはどういうことなのか?「習慣とは」無意識に同じ行動や動作を行うことであり、自身の営業のために意識する習慣を身につけることだと思われます。

野球で例えるなら、まずは打席に立ち1塁を目指します。この1塁は「相手の懐に入る」ことを意味します。顧客と良い関係を作ることがまずは基本的な習慣として必要です。そこには持ち前の誠実さが発揮されます。次に2塁への進塁を考えます。2塁は「顧客の課題を共有する」です。お客様と共通の課題認識することが、お客様の抱えている問題を解決する方法を一緒に考えることができる進塁となります。ここで得点圏に進むことがやっとできました。次は3塁です。ここからがアイデア勝負です。3塁は「解決の仮説を立て、提案活動をする」ことです。この提案活動こそが営業そのものです。そして、その提案活動から得点を狙うホームに突入するのが「成果」に結びつく営業と言えるのではないでしょうか?

「選択と集中」

ドラッカー曰く、「成果を上げるための秘訣をひとつ挙げるとすれば、それは集中である」

営業マンとしてぜひ知っておかなければならない原則として「パレートの法則(80対20の法則)」があります。それは、「8割の売上は2割のお客様で構成されている」「売上の8割は2割の商品で達成している」という現象です。これはどんな業種でも同じことが言える原則です。つまり、ドラッカーの言葉の「集中」ということであるならば、それは時間の多くを大事な2割のお客様や2割の商品に集中して考え行動するということなんだろうと思います。闇雲に動いても、闇雲に考えても成果を上げる行動になりません。自分の時間管理や自分の行動がしっかりと成果を上げるための「集中」になっているかをしっかりと見極めることが重要です。

計画・行動ついて

短期と長期のスケジュール

1年→1ヶ月→1週間→1日という順番で行動のスケジュールを立てなければならない。計画された1年があるから、計画された1ヶ月があり、計画された1ヶ月があるから、計画された1週間があり、計画された1週間があるから、計画された1日の行動が決まる。

ドラッカー曰く「短期が長期に位置付けられていなければ、決定はその場しのぎ、当てずっぽう、間違いとなる。」

毎週の計画がうまくいかない時には、「1ヶ月の計画を疑ってみることである」。毎月の計画がうまくいかない時には1年の行動計画を疑ってみるべきである。短期的な目線を長期的な目線にし、1年の計画を常に指針としそれを月の行動計画に落とし込む習慣を身に付けなければ「何事も成果をなし得ることはない」と肝に銘ずるべきである。

自分がどのレベルなのかを知る

仕事のレベル
Level 0 やりたいと思ってる人
Level 1 やりたいと言う人
Level 2 やりたいと言い続ける人
Level 3 本当にやる人
Level 4 やり続ける人
Level 5 結果 成果を出す人

「したい」を「します」に変えることの大事さを知る!

ドラッカー曰く「意思決定を行動に変えなければならない(経営者の条件)

よく耳にする言葉に「◯◯したいと思います」という言葉を聞きますが、この人は絶対に成功しません。「◯◯したい」という言葉を「◯◯します」に変えることを習慣づけることからやらなければ、営業としてまた社会人として問題があります。例えば、来月の営業訪問件数は?と聞いたときに、「10件は訪問したいと思います」では、ただのレベル1の領域であり、「10件訪問します」と伝える人はレベル3の意識はあるわけです。そして、その10件の訪問できちんと目標の成果を出す人が、レベル4や5の人となれるわけです。

この「○◯したい」を「○○します」に言葉を変えるだけで、自分自身の意思決定がなされ、それを「行動に変えること」がドラッカーが進めることだと認識すべきなのでしょう。

データーの重要性と「見える化」

データーは一人ひとりの動機づけにならなければならない、データーによって得られる情報が行動につながるには、その情報が知覚に翻訳されなければならない。(マネージメント-課題・責任・実践)

毎月の営業成績の結果は数字で出ます。数字はウソをつかないわけなのでその結果は自分自身の行動の結果です。では、それの結果を踏まえてどのように振り返り行動を変える必要があるのかを探るためには数字を眺めていてもうまくいきません。そこにはそれぞれのデーターを可視化しグラフ化「知覚に訴える」必要んがあるのだとドラッカーは言っています。したがっていかなるデーターを見るのかはとても重要な問題であり、その探り出したデーターを可視化して自身の行動の振り返りを的確に行うことが営業や販売員には求められる資質なんだと考えます。

時間管理について

時間管理が成果を分ける!?

ドラッカー曰く、知識労働者が成果を上げるための第一歩は「時間の使い方を記録すること」である。

ダメな営業マンは商談以外の時間が多すぎることにあるのではないでしょうか?昔若い頃に、「移動時間も仕事をした時間に入れているのでは?」と言われたことがあります。まさにその通りで、仕事をしたつもりになっている時間が多くあることに気づくべきであります。ドラッカーがよくいう「成果を上げる」ということは、成果に焦点を当てた時間の使い方が必要だということです。時間はどの会社の営業マンも平等です。平等に与えられている時間なのにどうして成果に差が出るのか?つまり、その時間の使い方に問題があると認識すべきでなないでしょうか?営業の成果は、「頻度✖️深度」で測ることができます。その両方の時間を取ることが営業の第一歩だと認識しなければならないと思います。

「重要」と「緊急」で優先順位をつける

仕事には「優先順位」が必要です。しかし、その優先順位をつけるときに「急ぎだから」という時間軸だけで順位をつけることは間違っていると思われます。

ドラッカー曰く、「する必要の全くないない仕事、時間の浪費である仕事を見つけ、捨てなけらばならない」(経営者の条件)

つまり下記の図のように「重要」と「緊急」の軸で持って仕事を分ける必要があります。

緊急性が高い緊急性が低い
重要度が高い最優先課題①
・締切のある仕事
・大事な人との急な約束
計画的な仕事の管理②
・仕事や勉強の準備
・人間関係作り
重要度が低い隙間時間の管理③
・突然の来客
・重要でない仕事
やらない!捨てる!
・待ち時間
・ダラダラとした時間

①を第一領域、②を第2領域、③を第3領域、④を第4領域をします。①は当然やらなければならない必要な仕事であることは事実であるが、仕事の上手な人は第2領域をいかに広げるかを考える人であると言えます

時間は有限な資源です。第2領域の仕事を増やすためには、第1、第3、第4の領域の仕事を減らさなければなりません。常に成長に必要な第2領域の時間を増やし、第4領域は勇気を持って「ノー」と言えるようになりましょう。

アクションプランの重要性

ドラッカー曰く「あらゆる組織に時間を無駄にする要因がある。その状況において、時間の使い方の目処となるものがアクションプランである」(経営者の条件)

仕事において一番重要なことは「成果を出す」ことです。成果に焦点を当てなければやっていることはただの作業になります「作業」と「仕事」は明らかに似て非なるものです。成果に焦点を当てるためには、「生きた時間」を使わなけらばなりません。成果の上がらない作業は全て「無駄な時間」と考えるべきでしょう。いつ、誰が、何を、どれだけやるのかを決めなけらば成果に焦点が当たった仕事にはなりません。営業であるならば、売上につながる時間をいかに確保し、売上に繋がらない仕事(つまり作業)はいかに効率よく省くのかが大事です。そのように考えると「行動計画」の大事さも見えてくるのではないでしょうか?「行動計画(アクションプラン)」は積み上げ式ではありません。1週間を4回するのが1ヶ月ではなく、1ヶ月の行動計画を4回に分けて行動するのが1週間であると「逆算して行動する」必要があります。

仕事上の無駄を定義すると、「会社の利益や会社の成果に結びつかない作業時間」と定義できると思います。無駄な時間を仕事で浪費することを避けるためには、しっかりとアクションプラン(行動計画)を立てる重要性を理解して行動量を増やすことしかないと認識をされるべきです。

大きな石から先に入れる!

ドラッカー曰く「仕事のほとんどは、わずかな成果を上げるためでも、かなりのまとまった時間を必要とする。細切れでは意味がない。」(経営者の条件)

時間管理の基本中の基本は成果を上げる時間を確保することです。よく例えに使うのが「瓶に大きな石、小石、砂を入れるときには順番を間違うと入らない」というお話をします。間違った順番は先に砂を入れてから、小石を入れると大きな石は入らないです。逆に、大きな石を最初に入れて、次に小石をその間に埋めるように入れ、最後に砂を入れると見事に瓶に3種類を入れることができます。つまり、仕事では先に大きな石(成果のあがる仕事)を先に優先することがとても重要になってきます。おおよそ1ヶ月のスケジュールを組みときにはこの発想ができなければ、成果の上がらない仕事(つまり砂)をスケジュールに割り当ててしまうと、とても大事な大きな仕事が入らない状態を作ってしまします。常にまとまった時間をどのように確保して成果につながる仕事をすることが重要なことなのだということですね。

そのためには、「しないことを決める」重要性にも着目しなければならないということです。

営業マンの能力とは

人間として、営業マンとして能力は伸ばし続けなければならない、このことはドラッカーが常に言っていることです。
以前、日経新聞のアンケート調査の結果に合ったものとして、「自己啓発しない理由」のトップ3は、1位「お金がない」2位「時間がない」3位「何をしていいかわからない」というデーターがあります。お金がなく時間がないから自己啓発できないということはないのではないでしょうか?無駄なお金の浪費や無駄な時間の浪費をおこなっていないのかをもう少し真剣に考えることから始めることをお勧めします。

成果(仕事)=能力✖️意欲✖️考え方

ドラッカー曰く、「そもそも能力がなくては、優れた仕事はあり得ず、自身も持ち得ず、人としての成長もあり得ない(「プロフェショナルの条件」)
では、その能力を得ることはできるのか?という問いに対して、ドラッカーは「経営者の条件」の中でYESと答えています。能力は誰でも取得することは可能なのです。
営業の能力は3つだと言われています。「豊富な知識」「対人コミュニケーション力」「営業スキル」です。ではその能力を取得するために必要な日々の努力はどういうものかというと、お客さまの悩み事を真面目に真剣に考え=「営業スキル」、多くの人と接する機会を自ら作り上げ、その人の力になりたいと思い=「対人コミュニケーション力」、必要な知識は貪欲に学び取り入れる=「豊富な知識」ことをすることによって磨き上げることが可能だと考えます。

ここでもう一つ大事なこととして、京セラ創業者の稲盛さんが言われていることに「能力と意欲は1〜100まであるがプラスである、しかし考え方はマイナスもあり得るので、考えた方がマイナスなら掛け算の答えはマイナスになる」ということが挙げられると思います。
つまり、「正しい営業としての考え方」をプラスに身につけておかなければ、いくら能力や意欲がプラスでもダメだということです。

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