数値化の鬼 序章
「仕事ができる人」「急成長する人」には共通点がある。
それは、物ごとを数字で考えられるということである。
自分を数字でマネジメントできない人は仕事ができない人である。
数字に向き合う。→成長できる人はみなさん数字に真剣に向き合っている
いかなる時もいったん「数字」で考える。→思考を180度変える
数字とは??
誰が見てもあきらかな「客観的事実」である。
組織の誤解を回避する。
数字で語ることによって組織の中の錯誤や誤解を回避する必要がある。
少しお待ちください。→5分お待ちください。
今週中にやります。→今週金曜日の18時までにやります。
商談回数を増やします。→毎月1回商談します。
数字ではなく、言葉で言い訳をするひとはそこで成長がとまる。
「仕事ができる人になる」5つのステップ
ステップ1 「行動量」を増やす
ステップ2 「確率」のワナに気を付ける
ステップ3 「変数」を見つける
ステップ4 「真の変数」に絞る
ステップ5 「長い期間」から逆算する
数値化の鬼 第1章 行動量の話
仕事ができる人の共通認識とは
仕事ができる人=評価者から評価される人(数値による評価)
具体的に例えると上司と部下の間で認識のズレのない評価を得られる人ということになります。
重要なポイントは3つあります。
1、プロセス(過程)においては評価しない。
2、数値化された目標達成のためには部下に任せ、自由にさせる。
3、部下が決めた手段に対して、細かく触れない。(デレゲーションの重要性をお互いに認識できている状態)
自分自身の能力を最大限発揮するために必要なことです。
成功したり、失敗したりしながらで結構です。「過ちて改ざる、これすなわち過ちである」
失敗を改善しないことが問題であると認識すべきです。
数値化とはPDCAを回すことである
そもそもPDCAとは何か?
計画ー実行ー検証(確認)ー改善のサイクルのことを言います。その頭文字をとってPDCAと呼びます。
目標を立てるときには具体的にまた可能な限り「数値化」された目標を設定すべきです。
また、検証するときにも自分で自己評価できるように日、週、月単位での自己確認評価が重要です。
例)
「ある商品を4月は100個売ろう」という目標を設定したとします。
PLAN(計画)/毎週末までに25個ずつ売る計画と立てる
DO(実行)/行動計画を策定し、その通り行動してみる
CHECK(確認)/計画を実行したけった、25個に達したのかどうか確認
ACTION(改善)/計画未達なら行動修正。計画達成ならさらにより良く改善
数をやるためのすぐにやる仕組み
D(行動)とは、自分で考えて行動することです。
D(行動)を増やすために必要不可欠になるのは、「数値化」です。
行動を漠然と行うと、行動の質も量も間違ってしまいます。
ここで重要な指数としてあげるのがKPIと呼ばれる指数です。
KPIとは=重要目標達成指数(Key Performance Indicator)のことで、目標を達成するために因数分解された目標数値のことを言います。
目標を達成するために、いつ、何を、どこまでやらければならないのかを示すマイルストーンがKPIです。
KPIを細かく設定することで、KGI(=Key Goal Indicator=目標)を達成するための行動が明らかにされていきます。
目標とは地図である
「目標」とは、地図や羅針盤のことであります。地図や羅針盤なしに行動することや航海することはとても危険です。まずは自分の目標=夢をもつことが大切です。
吉田松陰の言葉として「夢なき者に理想なし、理想なきものに計画なし、計画なきものに実行なし、実行なきものに成功なし、故に夢(=目標)なきものに成功なし」とあります。
まとめ
普段から「数値化」することの大切さを理解いただけたでしょうか?
会社は全て数値で見る必要があります。自分自身の行動を数値化できる人は=仕事ができる人、であるわけです。
また「目標設定」の重要性は如何でしょうか?
目標がなければ会社も人生も座礁してしまいます。そうならないように目標設定(KGI)を行い、それをチェックできるKPIを作り、行動量を増やすことがとても重要であります。仕事上手になってください。人生を素晴らしいものにしてください。そのために「数値化の鬼」になってください。
第2章 確率の話
確率80%の人と、確率40%の人のどちらが優秀なのか?
答えはこの段階ではわからない。です。なぜかは、確率の分母の大きさかわからないからということです。
10件回って8件の成約は80%ですが、40件回って16件の人は40%になります。つまり成約は確率40%の人の方が倍ほど成約があるということです。
つまり行動量が多ければ確率ではなく分母の数が大事となるわけです。
現状維持では沈む時代
「現状維持は衰退」という言葉を会社でホワイトボードに書いて8年ほど置いていました。
時代はものすごいスピードで変わっていきます。会社も個人も常に向上心を持ち進歩していかなければ立ち遅れる時代です。
少しでもその危険性に気がついているなら、いち早く成長への意識を再起動させないといけません。
「明日死ぬかのように今日を生き、永遠に生きるかのように学べ」です。
確率のワナに注意
①行動量を増やす行動をしていた人が「%(率)」を増やす行動に→確率のワナ
②「量を増やす」より「質を上げる」を目的にする
「行動量」をキープしながら「質(確率)」を上げることが正しい順番
③行動を起こす前に「評論家」になっていませんか。 重要なのは「行動量」
会社の中で評論家は「ただの働かない人」です。
「平均のウソ」にもダマされてはいけない
確率のワナにつづいて、「平均値のワナ」ということにも触れておきます。
①平均」=「確率」同様に机上の空論、この都合のいい数字を見るクセはやめよう。
②「数字の中身」にうるさい人になる 頭の中で一瞬でも数字で考えるクセを持つ
③疑問に思ったり、納得できないときは、数字を詰める。
④「2:6:2の法則」自分は何処にいる?「6」の平均で安心してませんか?
⑤「自己マネジメント(目標管理・評価制度)」と組織マネジメントで「10:0:0」組織を目指そう!
⑥改善の余地を全員で受入れて、全メンバーが活躍することを目指す!
まとめ
この章では「確率のワナ」のお話でしたが、確率を見るだけでなく、その行動量である分母にもフォーカスする大切さを述べています。売上が前年105%だからと安心するのではなく、「自分自身の行動量を前月や前年と比較する」ことも分母を見る上で大切であることを理解すべきことなんだと思います。
第3章 変数の話
「やるべきことと、やらないこと」を理解する必要があります。どの行動をやると結果が出るのか?それが変数です。
新商品を開発して、さあ売るぞ!!と意気込んで販売に努めます。
しかし、なかなか思うように売れません。
写真を変えたり、値段を下げたり、販促を行ったりと色々やるが販売数は伸びません。
そこで、「商品名を変えてみました」とすると販売数が伸びていったのです。
つまり、この商品の変数は「商品名」だったのです。
「変えられるもの」と「変えられないもの」を見分ける
変数とは
Y=aX+b このXが変数である
Xが変わるとYの数値が変わる。a/bは変わらない定数。
行動量を変えれば結果が変わるという数字が変数。
二つの頭の悪さ・・・こうならないこと
全て思い通りになると思っている場合
→(行動)変えられないことも変えようとする
→ 〇変えられないことは早々に見切りをつける
何をしても思い通りにいかないと思っている場合
→(行動)変えられることも変えられないと考える
→ 〇変えられることを変えようと努力する
目の前で起こっていることのどこに「変数」が隠れているのかを見つけ出し、「仕事のどこを変えればいいのか」を考えるのが仕事の醍醐味であります。
手当たり次第行動は努力が報われず、かつ時間がかかる。
したがって、ポイントを捉え一つにフォーカスをすることによって効率的・効果的に物事が進む。
目の前の事象を数値化し、さらに因数分解し徹底的に隠れている問題を見つけ出し、課題に落とし込む必要があります。
⇒課題解決は仕事の成果(目標)に直結する
マネージャーはマイナスにつながる変数を減らし、Y=aX+b Xがマイナスの変数にならないように努め
プレーヤーは自分の仕事の変数を見つけることがとても重要なことになります。
仕事の「中身」を細かく砕く
PDCAのPを売り上げ100万とします。100万の売り上げを上げるには「売上=アクセス✖️転換率✖️客単価」の法則からすると、客単価1万円で転換率1%なら1万人のアクセスが必要になります。
1万人のアクセス(来店客)を作るにはどのような因数分解が必要なのかを考えて行動することが大切です。
つまり、やることを時系列で整理する必要があるということです。
行動量を増やすということは、この「アクセスを増やす」ということになります。
ここに「変数」が隠れていると思われます。
変数を見つけ出すには、自分の行動が間違っていたことを認める作業が必要になります。
それは苦しさを伴い作業かもしれませんが、これに向き合える人には必ず成長が待っています。
いち早く変数に気づけるプレイヤーになる
一言で言うと、「仕事の工程を分けて、数字を数えて、なぜ?を繰り返す」
頭の中で考えてはダメです。数字に落とし込んで自分の行動をなぜ?で振り返り行動量を増やしましょう。
仕事は「再現性」が必要です。とにかく数値化の鬼になり、自分の成果に対する変数を見つける作業が必要です。
数値化したKPIに落とし込めば、1日にやるべきことが見えてきます。やるべきことが見えたらあとは行動に分解するだけです。
「変数じゃないものに固執しない」
「やった気になること」を排除せよ
×長時間の会議=会議の時間を変数と思い込んでいる → やった気になる
〇数値化した目的を持つ会議 リーダー・メンバーともに数字で物事を考えている状態
変数かそうじゃないかの判断基準
行動でなんの数値を上げることができるのか?
〇成果に結びつく=正しい変数への行動
×結びつかない=やった気にさせる行動
→ やったことに意味がある(意味の後付)は無駄
常に、「P」が何かを忘れない。
変数だったかどうかを確認する。
やったことの意味を後付けするのではなく、明らかに結果や成果につながったことを見つけ出す。
その確認作業がPDCAのC(確認)になります。
「目標となる成果につながる行動は何回とったか?」
「目標となる成果につながる行動は何時間やったか?」
これらを「数値」にすれば、自分に甘くする余地が減ります。
まとめ
第3章は、仕事で最も大事な「変数を見つける」でした。
売上月1,000万が目標であったとします。売上が800万で終わった場合どのような変数があるのかを見てみると
1、アルバイトがやめた
2、来店客数が減った
3、欲しいものがなかった
4、お店の対応が良くなかった
などが理由としてあがったとします。
1に関しては変数とは言えないかもしれません。
2に関したは広告のあり方に問題があったのか、ライバル店にお客様を取られたのか気になるとことです。
変数が隠れている可能性を考え対処する必要があると思われます。
3に関したはどこで離脱したのかをチェックする必要があるように思います。
4に関しては人材教育の必要を感じます。
このように、変数がどこに隠れているのかを探し出し(なぜを繰り返し)、対応する必要があると言うことになります。
第4章 真の変数の話
3角形の公式は「底辺✖️高さ➗2」です。これは普遍の公式です。
では、「変数」は変わるのでしょうか?答えはYESです。
同じ手が通じない時があります。その時に、「やり方を変えれる人」と「やり方を変えれない人」とに分かれます。
変数を考えるときに、最も気をつけること
変数は放っておくと増える。
→変数を見つけていくことで、すべてが大事だという考えに陥る。
→変数が多いと、余計なことを考える時間が増えてしまう。
→「変数を捨てる」という考え方が必要
変数を減らす「2つのアプローチ」
個人として「他に変数がないかを考え、前例を手放すこと」
チームとして上司やリーダーから「それは変数ではない、と指示をすること」
→過去にうまくいった成功法則も、環境や時代の変化で通用しなくなる。
「他に方法はないか」、「もっと効率的にできないか」と、自分に厳しく、自分がやってきたことを疑う。
→うまくいった経験を手放すことは簡単にはできない。
それを可能にするため、「数字」に注目する。
過去の成功法則と同じ方法なのに、「売上が上がっていない」、「利益に影響していない」という事実を受け止めることで、変数だと考えていた要素が変数でないことに気づく。
KPI(重要業績評価指標)を変えるという手段
「P(計画)」を立てて、それを達成するために「D(行動)」を実行したが、成果を出せなかったのだとしたら、「KPI」を見直さないといけない。
それをきちんと指摘する存在であることが、上司やリーダーの存在意義である
→大きな目標を達成している場合も、達成目標を徐々に上げていくべき。
それによって、今までの成功法則にとらわれない考えをさせることができる。
現状維持を許さず、つねに成長させる機会を与える。
常に危機意識を持たせ、「変数を見直さざるを得ない」環境を作り出す。
⇒仕事の基準が高くないと生ぬるい組織になる。
変数の中から「1つ」に絞り込む
最も成果につながるKPIは何かを考えましょう。
最終的には最も成果を上げることのできる「変数」に絞り込む必要がなります。
それを「変数の中の変数」つまり、真の変数ということになります。
人間はせいぜい2つか最大3つまでの事しか集中できません。従って、増えていく変数の中から真の変数を見つけ出し集中する必要がある事です。そして、真の変数を見つけ出しそこに行動を集中させ行動量を増やしていく作業が必要になるわけです。
とにかく迷ったら変数で考える
まずは「分ける」
→もし売り上げが落ちているなら、それは新規顧客売上が落ちているのか、既存顧客が離れているのか、都心部での売上が落ちているのか、地方での売上が落ちているのか?などまずは「分ける」作業が必要です、
分けて、分けて、さらに分ける
例えば、新規顧客は一定なのに既存顧客が落ちているのであれば、「客が離れないようにする」という問題にフォーカスする。つまり「既存顧客との関係づくり」が変数になる。
その現場でどのようなコミュニケーションがされているかクライアントの業種や規模によって変化はないか細かく分けていけば、解決の糸口が見えてくるはずです。
「分けて、分けて、さらに分ける」この作業が変数を見つけ出す行動です。
第5章 「長い期間」の話
短期的」と「長期的」の2つの視点
時間は大事であることに違いはありませんが、「短い期間」と「長い期間」の2つの視点、2つの価値があるということを徹底して理解しておかなければなりません。
短い方が良い、長い方が良いというようなことはありません
そのどちらも常に考え、時間を無駄にしないよう自分の行動を常に変化、改善させていかなければならいことを意識してください
時間を味方につけるという言葉の本質
短期的な利益だけではなく、「長期的に見て未来のトクを選ぶ」という視点を持つことも重要です。
⇒短期的に見たときに損(例えば時間=短期的な時間)するように思えても、長期的な視点を持つことでその損は利益(長期的な時間の得)に変わるという考え方を理解することが必要です。
最近の傾向として「今だけ、金だけ、自分だけ」という言葉を聞くことがあります。世の中がコツコツやることをバカにしています。そんなことはありません。例えば勉強などは「今の時間を無駄にしている」ように思えますが、必ず長期的に考えたときには自分の成長につながるのです。
そのように短期的に損であるように一見みえることも、長期的には得をすることが世の中にはあるということを理解すべきなのでしょうね。
長期的に考えるプレイヤーとは
基本的に「長期的な視点」を持って考えなければいけないのは上の立場の人です。
しかし、プレイヤーであっても持たなければいけない「長期的な視点」はあります。
現時点で売上の大きい得意先様だけを大切にするのではなく、それと同時に売上の小さい得意先様とも連絡を取り合い、関係性を築き上げていくことです。
数字は常に変わり続けます、一定ではありません。
そう考えたときに、いくら現時点での売上が大きい得意先様でも何かの影響で売上が大きく落ちてくる可能性があります。
逆に今どれだけ売上が小さくともお客様に寄り添い続けることで将来的に売上の大きい得意先様になる可能性もあります。
営業マンにとって、売上が大きな得意先様、小さな得意先様のどちらも大切な「お客様」にあることには間違いありません。
もちろん、その時の状況に応じて優先しなければならない得意先様は出てくるかもしれませんが、だからといって片方を適当にしていいわけではありません。
よって、「長期的な視点」を持つことも大切ですが、根底にはお客様を大切に思う気持ちが絶対になくてはならないのだと思います
短期から長期、長期から短期へ逆算する
仕事には相反するものを2つともやらなければならないことが起こります。
例えば「質と量」「短期と長期」などです。
このときに、「OR(オアー)」の考えではなく「AND(アンド)」の考え方が必要になります。
「どちらか」ではないのです、「どちらも」必要なことが起こります。
そのことを認識しているだけでも仕事ができる人になります。
常に短期的視点だけでなく、3年ぐらいの長期視点を持って仕事に取り組むべきです。
3年先に「どうなっていたいのか?」「どのような数値にしておかないと行けないのか?」を長期的な目標として持たなければなりません。私的には6年ではないかと思っています。
それを、今度は逆算して、1年の行動を決めます。
そうすると、半年の数値が見えてきます、その上で1ヶ月の行動を数値化して決め、
さらに1週間の数値化された行動が決まります。
1週間が決まれば、1日の行動が決まるということです。
このようにして、「短期から長期へ」「長期から短期へ」と逆算して数値化し、自分をコントロールできるようになる人が「仕事ができる人」であります。
まとめ
私がこの本と出会って、「これだ」と思ったのは、いかに会社の中で数値で答えれる人が少ないかを悩んでいたときです。
「どうして認識にずれが生じるのか?」「どうして誤解や錯誤が社内で起こるのか?」を悩んでいたところにこの本に出会いました。
誰しもが努力をしている組織だと自負しています。なのに「どうして組織がうまく機能していないのか?」その答えがこの「数値化の鬼」にあると信じて勉強をしてきました。
ぜひ、皆さんもこのことを理解して、「間違った地図や梯子」をかけることなく、目標に最小の努力で最大の成果を出せる人になってもらえたらと切に願っています。
「数値化の鬼」を読んで大事な言葉
「仕事ができる人」「急成長をする人」には、ある共通点があります。それは、物事を「数字で考えられる」
数字に向き合わずに成長できる人は、誰一人としていません。
誰の目にも明らかな基準を設け、割り切ることが必要なのです。
ここで言うムダとは、「データーのない不毛な会議」「好き嫌いや空気の読み合い」「認識の違いによる仕事上のエラー」
「数字はとことん客観的にしてくれる」
数字は常に未来のためにある。それは、「未来」に目を向けるためです。
情熱で押し切る方法しか知らない人は、どこかでその壁にぶつかります。30代や40代で、こういう情熱的な言い方しかできない人は、社会人としてかなり厳しい状態になっています。
数値化できるようになると、失敗を認めることができます。「失敗しなくなる」のではありません。「失敗を認められる」のです。大事なことは、失敗を失敗と認めて、次につなげることです。