P.F.ドラッカー経営書

目次

序章 成果を上げるには

 成果を上げる人は限られた人だけなのか?
答えはNOである。
外交的な人や内向的な人、リーダー気質のある人やおとなしい人など色々な人がいる中で成果を上げる人は特別に限られた人だけではない。成果を上げるには以下の8つの習慣だけである。
1、なされるべき事を考える
2、組織のことを考える
3、アクションプランを作る
4、意思決定をおこなう
5、コミュニケーションをおこなう
6、機会に焦点を合わせる
7、会議の生産性を上げる
8、「私は」ではなく「我々は」を考える

なされること、組織のことを考える

8つの習慣のうち、最初に身につけるべき習慣は「なされるべきこと、組織のことを考える」である。
仕事とは「何がしたいか」ではなく、「何がなされるべきか」で物事を考える習慣が必要であります。
どうしてもしたいことが優先される弱さが人間にあるが、やるべきことは何かを考えることから始めてこそ成果に結びつくのであります。

アクションプランを考える

いかなる知識も行動をともなわないものは無用の長物である。「知行合一(ちこうごういつ)」とはよく言ったものです。
しかし、行動の前には絶対に計画(アクションプラン)が必要です。計画無くして行動なし。これが、リーダーに求められる2つ目の習慣です。
計画で考えなければならないことは2点あります。
1点目は、「いかなる成果を出すのか?」それは、「いつまでなのか?」です。
2点目は、その行動は会社の目的や価値観に合っているかです。いかなる計画もこの会社の目的や価値観に合わないものは間違ったものであり成果を期待できないものになります。
しかし、アクションプランは外部環境の変化などで柔軟性が必要だと言われています。世の中をよく見聞きし環境の変化に柔軟にアクションプランを修正していくことが必要です
また、必ずチェックポイントを必要とします。いわゆるマイルストーンです。仮に6ヶ月の目標を設定した時には、1ヶ月単位でその目標ができているのかをチェクする必要があります。
その上で、アクションプランは時間管理のツールでもあります。時間こそ全ての人に平等にあたえられているものです。(時間以外は全て不平等です。)
アクションプランなくしては、全てがなりゆき任せの仕事となることを念頭に置かなければなりません。

行動する

 アクションプランの次にやることは「行動」である。
行動には以下の4つの点を考える必要があります。

意思決定を行う

さらに、意思決定を行うには以下の4点に注意しなければなりません
1、実行責任者
2、日程
3、決定に対して影響をうけるため、その内容を知らせ・理解し・納得すべき人
4、決定に対して影響を受けないがその内容を知らされるべき人

意思決定はトップだけが行うものではなく、スペシャリストから現場の管理者全てで行われるものである。(担当者もしかり)

コミュニケーションを行う

コミュケーションに必要なものは「情報」である
組織の一体性は命令ではなく、情報によってもたらされる。
必要な部署に必要な情報が入ってこそ、組織の一帯性とコミュニケーションが行われるのである。

機会に焦点を合わせる

 問題ではなく、機会に焦点を合わせなければならない。
問題は放っておくことは出来ないが、いかなる問題も解決をしたからといって成果がもたらされるわけではない。
損害を防ぐだけである。
まずは、変化を脅威としてではなく機会としてとらえなければならない。
組織の「内と外」の変化を見つけ、機会として使えるかどうかを考えなければならない。
機会に焦点を合わせるには人事が重要で、機会のリストと人事のリストから最大の成果を産まなければならない。

会議の生産性をあげる

 成果を上げるには、会議の生産性をあげなければならない。
会議の生産性をあげるには、事前に目的を明確にし準備しなければならない。
会議の生産性をあげるには、会議終了後の行動が大事である。
いつ、誰が、何を、いつまでに、どのようにしなければならないかを決定することが重要である。
会議に成果をあげるものとあげないものの2種類しかない。

「私は」ではなく、「我々は」を考える

経営者やリーダーが身につける習慣として、「私は」ではなく、「我々は」と考える習慣である
最終責任は経営者もしくは、仕事によってはリーダーが取らなければならない。
これは誰にも委譲できない責任である。

まとめ

 成果をあげるには、性格・強み・弱み・価値観・信条はいかようであってもよい。
なされるべきことをなすだけである。
成果をあげることは習慣である。
従って、他の習慣と同様に身につけることができるのである

第1章 成果を上げる能力は修得できる

 成果を上げる人は決まった性格や人格ではない。性格もさまざま、知識もさまざま、行動もさまざまである。
共通していることは、「なすべきことをなす能力」だけである。

成果を上げることは一つの習慣である。

 成果をあげるために必要なことは、その習慣を身につけることである
いたって単純であり、小学生でもわかるが大人でも習慣を身につけることは苦労が伴う。
掛け算の99を練習するのと同じであり、小学生の時に何度も何度も口に出して練習して初めて99が瞬間的に言えるようになるのと同じである。
習慣にするということは、毎日毎日練習が必要である。
卓越するには特別な才能が必要かもしれないが、成果をあげるためには人並みの能力があれば良い。
それは「習慣」にするということである。
「考え方に気をつけよう!それはいずれ言葉になるから。言葉に気をつけよう!それはいずれ行動になるから。行動に気をつけよう!それはいずれ習慣になるから。」である。
徹底して、成果をあげる考え方、言葉、行動に気をつけて習慣化されるべきことである。

5つの身につける成果をあげる習慣

 成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力は5つある
1、時間管理。何に時間をとられているのかを知ること
2、仕事(作業)ではなく成果に精力を向けること。期待されている成果は何か?」からスタートする
3、強みを基盤にする弱みを基盤にしてはならない、すなわちできないことからスタートしてはいけない
4、優先順位を決め、それを守ること。最初に行うべきことを行う意思と能力。
5、戦術ではなく、戦略の意思決定を行う。それも「正しい戦略」の意思決定を行うこと

第2章 汝の時間を知れ

 成果をあげる者は、計画からスタートしない。ましていきなり仕事からスタートしない。
時間が何にとられているのかからスタートする。
したがって、時間を記録する。整理する。まとめる(まとまった時間を作る)。の3段階のプロセスが成果をあげるための時間管理の基本である。

自由になる時間をまとめる

 時間を記録し分析すれば、何に時間をとられているのかを把握することができる。
真の成果をあげることのできる仕事にどれだけの時間を割くことができるのかを理解することが可能になる。
 成果をあげるには自由な大きくまとまった時間が必要になる。
小さな時間は大きな成果をあげるには不必要な時間である。たとえ、1日の4分の1でもまとまった時間は成果をあげるには十分である。逆に1日の4分の3の時間があってもそれが細切れの時間であれば成果をあげるに値しない時間となる。
 時間をまとめる方法として、週1回自宅で仕事をする(週2回午前中や午後でも良いかも)ということが挙げられている。これはとても興味のある考察である。会社としても検討すべき考察である。

 時間の管理は継続的に行わなければならない。継続的に時間の記録をつけ、整理しなければならない。
重要な仕事については締め切りを設定しなければならない。

第3章 どのような貢献ができるか

 成果をあげるには、自らの貢献を考えなければならない。
手元の仕事から顔を上げ、目標に目を向けなければならない。そして、責任を中心に考えなければならない。

貢献へのコミットメント

 「どのような貢献ができるか?」を自問しなければ、目標を低く設定するだけでなく、間違った目標になってしまいます。
 なすべき貢献には3つの領域が存在する直接の成果価値への取組み人材の育成である。
 第1の領域ははっきりわかるものである。つまり、経営上の数字である、売上、利益、その他経営上の必要な数字である。(当社においては数値KPIである。)
直接の成果は常に重要であり、組織を生かすためのカロリーである。
 第2の領域である価値への取り組みは、例えば商品の品質であり、サービスの質への取組みである。これは組織のビタミンやミネラルに位置する。
 第3の領域人材育成である。常に成果に焦点をあてる組織は人材の育成に努めななければならない。人的資源を更新し、確実に高度化していかなければならない。

会議の成果をあげる

 会議・報告書の類は成果をあげるためにはとても重要なものである。そこから何を得るべきかを知る必要がある。
「なぜこの会議が必要なのか?」「報告書から何を理解すべきなのか?」などである。
会議をひらく前、報告会を聞く前、説明会をする前にそれぞれの目的を明らかにしなければ成果をあげることにならない。

まとめ

 貢献に焦点をあてることで成果が上がる仕事になる。常に自分達自身の貢献とは何かを問いかけなければならない。
内なる努力外なる成果としての結果を出さなければならない。
つまるとこと、貢献に焦点をあてるとは、「成果に焦点をあてる」ことと同じことである。

第4章 人の強みを生かす

 第4章の説明に入る前に、以下のSWOT分析を理解してもらえると話はわかりやすいと思います。
SWOT分析とは、内部環境である「強み」と「弱み」外部環境である「機会」と「脅威」に対してどのような構造になっているのかを知り得るツールであります。

機会(Opportunity)脅威(Threat)
強み(Strength)
自分の強みを
機会に活かし貢献する

弱み(Weakness)

強みによる人事

 成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。
会社に貢献するためには、すべての参加者の強みを総動員する必要があります。
自分・同僚・上司のすべての強みを外部環境である機会に焦点を合わせ仕事を組み立てるということです。
強みを生かす最大の問題は人事である。

上司の強みを生かす

 自身が仕事の上で成果をあげるためには、「上司の強みを生かす」ことが重要である。
「上司は何がよくできるのか?」上司の強みを生かすためには、部下は何の情報をあげなければならないか?」
上司は部下である自分から何の情報を得たいと考えているのか?」などを双方向から理解する必要がある

 上司には「読む人」と「聞く人」がいることを理解すべきである。
「読む人」には簡潔に文章でまとめ報告をする。「聞く人」には起承転結をしっかりとし、まずは結論から話すべきである。

自ら成果をあげる

 仕事をするにあたっては、「自らの強みからスタート」しなければならない。
自らの強みを知ることはそれほど難しいものではない
朝と夜のどちらが仕事がしやすいのか?
大まかに理解して進めるほうが得意か、じっくり考えてからやるほうが得意なのか?
スピーは原稿があったほうがいいのか、なくても大丈夫なのか?
チームで仕事をしたほうが成果を上げれるのか、ひとりでした方がいいのか?などである。
成果を上げれる人は全て、自分自身をよく知り、「他の人はできなくても、自分には簡単にできること」を理解するよう努めることである。
強みのみが成果をあげる、弱みはせいぜい頭痛の種であるだけである。

第5章 最も重要なことに集中せよ

一つのことに集中せよ

 成果をあげるための秘訣を一つあげるとするならば、「それは集中である」
成果をあげる人は最も重要なことから始め、しかも一度に一つのことしかしない。
集中は普段あまりにも多くの仕事を抱えることがあるからこそ必要なことである。
なぜなら一度に一つのことを行うことによってのみ早く仕事ができるのである。
集中とは、「真に意味のあることは何か」「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について自ら決定する。
目標管理の重要性をここに認識することである。

第6章 意思決定とは何か

 成果をあげるには「意思決定の数を多くしてはならない」重要な意思決定に集中しなければならない
個々の問題ではなく、根本的な問題を考えなければならない。問題の根本をよく理解して意思決定をしなければならない。
決定のプロセスで最も時間のかかることは、決定することではなく、それを実施するときにかなりの時間を要する。実施するときには可能な限り具体的な方法を議論し決定しなければならない。

意思決定の5つのステップ

 成果をあげるために必要な意思決定には5つのステップがある
1、問題の種類を知る。
2、必要条件を明確にする。
  達成すべき目的は何か?達成すべき目標は何か?
3、何が正しいかを知る。
4、行動に変える。
  決定は行動に変えなければならない。
  決定の実行が具体的に誰のどのような行動かを決定するまでは意思決定は単なる飾りにすぎない。
5、フィードバックを行う
  行動には必ずフィードバックを伴う。そのためには数字がとても大切であることを認識する必要がある。

第7章 成果をあげる意思決定とは

 正しい意思決定をするために最初にやろうとすることは「事実を知る」ということを行おうとするが、それは間違いである。最初から正しい事実を知ることはできない成果をあげるものは「事実からスタートする」のではなく、現実の検証からスタートしなければならない。

意見の不一致を必要とする

 色々な問題は、まずは意見の一致から始めてはならない。満場一致で意見が一致することはまずはない。
相反する意見の対立、異なる視点での対話、異なる判断の間の選択があって初めて意思決定を行うことができる。
その場合の、意見の一致は事実の検証によって行われなければならない。

終章 成果をあげる能力を修得せよ

成果をあげることは使命である。
この本で語っていることは2つであった。
1、仕事とは成果をあげること
2、成果をあげる能力を修得できる

まず我々は成果をあげることによってのみ給与・報酬を受けることができる。

成果をあげることは使命

成果をあげることは学ぶことはできても、教わることはできない。
1、第1のステップは、時間が何に使われているのかを記録することである。
2、第2のステップは、貢献に焦点を合わす」ということである。
  貢献に焦点を合わせることによって手段ではなく目的を中心に考えるようになる
3、強みを生かす
  強みを生かすことは、実行・行動によって実践されるものである。実践によって自己開発するものである。

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