「道をひらく」 松下幸之助著
目次
さまざま
春が来て花が咲いて、初夏が来て若葉が萌えて、野山はまさに華麗な装いである。さまざまの花が咲き、さまざまの草木が萌え、さまざまの鳥が舞う。さまざま、とりどりなればこそのこの華麗さである。この自然の装いである。花は桜だけ、気は杉だけ、鳥はウグイスだけ。それはそれなりの風情はあろうけど、この日本の山野に、もしこれだけの種類しかなかったとしたら、とてもこの自然のゆたかさは生れ出てこれなかったであろう。
いろいろの花があってよかった。さまざまな木があってよかった。たくさんの鳥があってよかった。自然の理のありがたさである。人もまたさまざま。さまざまの人があればこそ、ゆたかな働きも生み出されてくる。自分と他人とは、顔もちがえば気性も違う。好みもちがう。それでよいのである。違うことを嘆くよりも、そのちがうことのなかに無限の妙味を感じたい。無限のゆたかさを感じたい。そして、人それぞれに力をつくし、人それぞれに助け合いたい。
いろいろな人があってよかった。さまざまの人があってよかった。
今日は「さまざま」です。 組織は個性があっていいんだと思います。目的は同じですが、それぞれの個性を活かしながら1+1を3に出来れば、それぞれの個性(強み)あった方がいいんだと思います。ただ、いい意味での自分の個性を組織で活かす事が大事なんだと思います。(2022年加筆)目的を同じくすることが個性を活かす上で大事なことです。同じ方向を目指すからこそその個性がお互いに生かされていくことがいいのであり、悪戯に「個性主義」を全面に打ち出すのはどうかと思っています。行き過ぎた個性主義には少し警笛を鳴らしたいなと考えました。
松下幸之助 「仕事に哲学をもて」
ファンを作る商売人は成功する
ファンを作れないような商売人は、私はあかんと思います。ファン作りというてもそうむずかしいものではないです。
やはり自分の主張すべきは主張し、正しい姿というものがビシッと先方に入れば、先方がファンになるんです。
「なかなか話せる商売人、話せる店やなあ。わしはお前んところで買ってやるで」とこうなる。これは離れません。
(昭和40年11月4日・ナショナルテレビ6百万台達成感謝セール)