道をひらく 松下幸之助著
目次
長所と短所
この世の中は持ちつ持たれつ、人と人との共同生活によって、仕事が成り立っている。暮らしが成り立っている。
この共同生活を円滑に進めるためには、いろいろの心くばりが必要だけれども、なかでも大事なことは、おたがいにまわりの人の長所と欠点とを、素直な心でよく理解しておくということである。そしてその長所を、できるかぎり発揮させてあげるように、またその短所をできるかぎり補ってあげるように、暖かい心で最善の心くばりをするということである。
神様ではないのだから、全知全能を人間に求めるのは愚の限りである。
人に求めるほうも愚なら、いささかのうぬぼれにみずから心おごる姿も、また愚である。
人を助けて己の仕事が成り立ち、また人に助けられて己の仕事が円滑に運んでいるのである。
この理解と心配りがなければ、百万の人も単につのつき合わした烏合の衆にすぎないであろう。
長所と短所と-それは人間のいわば一つの宿命である。その宿命を繁栄にむすびつけるのも貧困にむすびつけるのも、つまりはお互いの心くばり一つにかかっているのではなかろうか。
今日は「長所と短所」です。 人間誰にでも長所も短所もあります。 組織は平凡な人間を非凡にすることが必要です。お互いの長所を伸ばしあい、短所を補いあうのが組織では必要になってきます。 また、自分の長所と短所を理解し、自らの手で長所は伸ばし、短所を少なくしていけば人として必ず成功すると思っています。 時には自分ではわかっていない長所や短所をお互いに話し合ってみるのも、いいことかもしれませんね。 (2023年加筆)ドラッカーの著書に「自らの強みを生かし成果をあげる」という言葉があります。自らの強みはつまり長所であり、その長所を最大限組織の中で生かしてこそ成果をあげる能力をもつもとができるのではないでしょうか。
松下幸之助 仕事には哲学をもて
いいものを知らせる意義
自然に知れていくということも結構であるが、いいものであれば早く知らせてあげるということが親切ですね。そういう意味において、広告というものには意義があるわけです。
したがって自分の店が儲かるから広告をするということは、これは邪道ですね。ほんとうは。
(昭和32年10月1日・NHKラジオ放送「婦人の時間」)