道をひらく 松下幸之助著
仕事というものは
仕事というものは勝負である。一刻一瞬が勝負である。
だがおたがいに、勝負する気迫(きはく)をもって、日々の仕事をすすめているかどうか。
まず普通の仕事ならば、ちょっとした怠(おこた)りや失敗があったとしても
別に命を失うというほどのことはない。
それでも、ともかく日は暮れて、その日の仕事はまず終わる。
だから、つい気がゆるむ。油断する。
きょうはきのうのくりかえし、あすもまた同じで、別段とくに変わったこともなし。
しかし、これではいい知恵はうかばない。
創意も生まれなければ、くふうも生まれない。
そして何の緊張もないかわりに、何の喜びもないということになる。
平穏無事なときには、これでも日はすごせるが、しかしいつもそうはならない。
わが国の情勢は、世界の動きとともに今や刻々と変わりつつある。
一刻の油断もならぬ状態におかれている。
このときこそ、勝負する大勇気をもって仕事にあたらねば、それこそ真の繁栄は生まれないであろう。
仕事を勝負と心得る人と心得ない人とのちがいが、ハッキリとあらわれてくるときではなかろうか。
今日は「仕事というものは」です。
仕事というものは勝負である!と始まります。
わたし自身は、その通り!という反応になるのですが、それも社長なら当たり前です。
真剣勝負です。28年間会社が潰れたら全財産を失い、家族が路頭に迷います。
まさに1年1年がこれ真剣勝負を行って来ました。
あえて言わせてもらうと、皆さんとの違いはこれだけです。
28年間、のほほんと必ず給料が保証されたサラリーマンには絶対に精神力で負けることはあり得ません。
だからと言って私が偉いとか凄いとかという意味でもありません。
しかし、自分の成長を考えた時に、この真剣勝負を続けて行く環境に自分の身を置くことの大事さはあります。
オリンピックでも野球でも私たちはそれを見て感動します。
これはなぜか?そこには真剣勝負があるからです。
私たちのお客様もスポーツの観客と同じです。私達が真剣であればあるほど、その仕事に感動してくれます。また、自分自身も感動を味わうことが出来きます。
お金をもらって感動を味わい、感動を渡せる!
そんな社会人になられることを皆さんに切に願います!
同じ年代の人達に負けないでください。
命や財産までかける必要はありません。気持ちだけは常に真剣勝負であってほしいものです。
必ずその気持ちを持ち続けることで、30年後に素晴らしい人生になっていることだと思います。
松下幸之助 仕事には哲学をもて
現場で仕事をさせることがいちばんの教育である
別に養成のコツというものはありません。ただ、現場について仕事をすること、これがいちばんの教育ですな。講習会なんてものをいくらやっても、やっぱり現場を通じて体得するということーこれが大事です。(「機械器具の新聞)昭和四十年一月一日号・山本猛夫氏との対談)