道をひらく 松下幸之助著
一陽来復(いちようらいふく)
ひろい世の中、長い人生、いつも心楽しいことばかりではない。
何の苦労もなく何の心配もなくただ凡々と泰平を楽しめれば、これはこれでまことに結構なことであるけれどなかなかそうは事が運ばない。
ときには悲嘆にくれ、絶体絶命思案にあまる窮境にたつこともしばしばあるであろう。
しかし、それもまたよし。
悲嘆のなかから、人ははじめて人生の深さを知り窮境に立ってはじめて世間の味わいを学びとることができるのである。 頭で知ることも大事だが身をもって知るということが何よりも大事。
塩の辛さはなめてみてはじめてわかる。知るということにも、いろいろあるのである。
窮境に立つということは身をもって知る尊いチャンスではあるまいか。
得難い体得の機会ではあるまいか。そう考えれば、苦しい中にも勇気がでる。元気がでる。
思い直した心の中に新しい知恵がわいてでる。
そして、禍を転じて福となす、つまり一陽来復
暗雲に一すじの陽がさしこんで再び春を迎える力強い再出発への道がひらけてくると思うのである。
※一陽来復とは=冬が終わり春が来ること。 新年が来ること。 また、悪いことが続いた後で幸運に向かうこと。 陰の気がきわまって陽の気にかえる意。
今日は「一陽来復」(いちようらいふく)です。
昔、「世に不幸はない全て試練である」と言う言葉を聞いた事があります。
不幸は来ない方がいいのでしょうが、長い人生には色々な不幸があります。
しかし、それ全ては自分に課せられた試練なんだと思えば乗り越える勇気も湧いて来るのではないでしょうか??何事も体験しないとわからないと思います。
窮地に立つとは、身をもって知るチャンスだと書かれています。
その通りだと思います。私自身も数々の窮地を30年間に経験して来ました。
その一つ一つを逃げずに乗り越えて来たから今があるんだと思います。
その時その時は確かにしんどい事もあったように思います。
でも、乗り越えてしまえば辛かったことなど忘れ、全てが人生の肥やしなんだと実感出来るようになります。
全ては考え方で、「困難ありがとう」と思える気持ちが新たな勇気と知恵を与えてくれるのではないでしょうか?
前向きに困難にあえてチャレンジして見ることも大事なんでしょうね!!
松下幸之助 仕事には哲学をもて
早くいいものをつくる訓練
われわれが、設計なら設計ということをやるについても、その設計に10日かかったんではもう遅い。よし、こういうものをやろうという着想をしたならば、それはすぐ瞬時にしてその着想が一つの見本品となって現れる、というようなことが絶えず行われなければならない。そういうような訓練をしているかどうかということです。(昭和三十四年十月一日・松下電器幹部社員への講話)