道をひらく 松下幸之助著
旗をみる
射場に行って射撃の練習をすると、遠い標的の下に監視の人がいて、発射のたびに旗を振ってくれる。その旗の振りぐあいで、ねらいが的を射たか、 はずれたか、また右にそれたか左にずれたか、一目でわかり次のねらいを修正する。
こんなことをくりかえして、しだいしだいに上達するわけで、もしこの旗を見なかったら、たとえ百万発の射撃をしたところで、それはいわば闇夜の盲射ち(めくらうち)にも等しくて、ねらいの効果もわからず、何の上達もないであろう。
考えてみれば、おたがいの毎日の働きについても、実はこんな旗が、たくさん振られているのである。
その中には、たとえば数字という形で眼に見えてくるものもある。しかし、眼に見えない旗のほうがはるかに多いであろう。
その見えない旗を見きわめて、毎日の成果を慎重に検討していくところに、仕事の真の成長があり、毎日の尊い累積がある。
おたがいに忙しい日々ではあるけれど、眼に見える旗はもちろんのこと、眼に見えない旗をも、よく見きわめるだけの心がけを、つねにきびしく養っておきたいものである。
今日は「旗をみる」です。
ゴルフをやっていると一打一打反省が常にあります。反省があるから次のショットをどうしようかと考えて進むわけですが、また、OBを出すとたまに前で旗を振って「ダメ」とか「OK」など教えてくれます。
仕事は、自分自身でこの判断をしないとダメなんだと思います。とかく人間は自分には甘くなりがちです。
こんな言葉があって、辛い他人の評価、甘い自分の評価、本当の評価!
この三つに分かれるようです。
本当は、自分自身でちゃんと物差しを正しく持って、常に自分で自分の仕事を正しく評価できるようになるのが理想ですね。理想に向けて、正しい自分の目を養うことがとても大事なんだと思います!!
松下幸之助 仕事には哲学をもて
技術革新によって人間が疎外されてはいけない
現代の技術革新は、今後とも果てしなく続いていくだろう。それは一面人間生活を豊かに便利に、より好ましいものにしていくと思う。しかし、技術革新によって人間が必ずしも幸せになっていくかどうか、むしろ、人間が疎外されるということが、ますますはなはだしくなることも考えられる。そうなっては、人類の失敗である。(「産経新聞」昭和四十五年一月一日)