道をひらく 何でもないこと

道をひらく 松下幸之助著

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何でもないこと

何事においても反省検討の必要なことは、今さらいうまでもないが、商売においては、特にこれが大事である。
焼芋屋(やきいもや)のような簡単な商売でも、一日の商(あきな)いが終われば、いくらの売り上げがあったのか、やっぱりキチンと計算し、売れれば売れたでその成果を、売れなければなぜ売れないかを、いろいろと検討してみる。
そして、仕入れを吟味し、焼き方をくふうし、サービスの欠陥を反省して、あすへの新しい意欲を盛り上げる。これが焼芋屋繁盛の秘訣というものであろう。
まして、たくさんの商品を扱い、たくさんのお客に接する商売においては、こうした一日のケジメをおろそかにし、焼芋屋ででも行なわれるような毎日の反省と検討を怠って、どうしてきょうよりあすへの発展向上が望まれよう。
何でもないことだが、この何でもないことが何でもなくやれるには、やはりかなりの修練が要るのである
平凡が非凡に通ずるというのも、この何でもないと思われることを、何でもなく平凡に積み重ねてゆくところから、生まれてくるのではなかろうか。

今日は「何でもないこと」です。

焼き芋屋さんの例が出ていましたが、焼き芋屋さんでも毎日の売り上げをその日終わったら、売れたら売れたでなぜ売れたのか?売れなかったら売れなかったで、何が良くなかったのかを1日の締めとしてやることが当たり前であると書かれていました。(そしてその原因をPDCAでまわす!)
営業部の方々は1日の終わり(もしくはデーターが24時締めなら)や1日の始まりに昨日の売り上げつまり、アクセス×転換率や昨年度の対比などを見て、毎日のPDCAをちゃんと回して確認されていますか
今年のスローガンは「誰でもできることを誰もやらないぐらいやる」です。
とても平凡なことを非凡なレベルまでやってこそ見えてくることがあると思います。
毎日の売り上げを見る大事さを忘れていませんか?
焼き芋屋さんやたこ焼き屋さんでもやっている商売の原点を忘れていませんか?
1日の終わりにその日の仕事でうまく行ったことや、上手くいかなかったことをしっかりと反省し1日のPDCAを終わらせることはとても大事なことです。
新人の時には必ず日報をつけさせられますが、旧人になって日報をつけなくていいからと言って、1日の締めをしなくていいということではありません。
初心を忘れず、日々日報を自分につけているが如く、毎日のPDCAをしっかりとやり続けた人だけが本当の意味でもプロ根性であり、お得意先様から必要とされるデーターをすべて頭に入れることのできているプロの社会人なのだと思います。

松下幸之助 仕事には哲学をもて

真剣であれば物が語りかけてくれる

ぼくはこれまで、電気器具を主とする商品を作り販売するという仕事を長年続けてきましたが、その過程では、それぞれの商品がぼくに何事かを語りかけ、訴えかけていると感じたことが少なからずあったのです。
たとえば、試作品ができるとぼくは、できる限り自分でも実際に手に取って使ってみることにしていました。電気コタツでもラジオでもテレビでも、しばらくの間、じっと眺めたり、手で撫でまわしたりしながら、それぞれの機能を試してみる。そうすると、もの言わぬはずのコタツやテレビがぼくに語りかけてくる。「この角をもう少し削って丸みをつけてくれないか」とか、「スイッチをもう少し太くしてほしい」とかいう声が、実際に聞こえてくるような気になるのです。
もの言わぬはずの商品が何事かを語りかけてくるというのは、一体どういうことなのか。ぼく自身もよくわからないのですが、結局、そのような声が聞こえるかどうかは、自分の側にどれだけの真剣さがあるかによるのではないかと思います。(「PHP」昭和五十九年四月号)

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