道をひらく 松下幸之助著
わけ入れば
わけ入れば思わぬ道があるというのは、何も野や山の道のことだけではない。いままで、これが一番よいと思っていたものが、やがてもっとよいものができてきて、だから前のものは古くなって、おたがいにさらにゆたかな生活を楽しむことができるようになる。
こうしたことは、おたがいの日常の暮らしの上に刻々に見られることであるけれど、それはたとえ自分が考え出さなくとも、多くの人びとのなかの誰かが、もうこれでいいのだ、もうこれでおしまいだなどとあきらめないで、もっとよい方法があるはずだ、もっとよい考えがあるはずだ、という真剣な思いで真剣な努力を重ねてきているからである。長い人類の歴史は、時に曲折はあったとしても、こうしておおむね進歩発展の一路を辿ってきた。
今後もまたかぎりなく発展してゆくにちがいない。人間は本当は偉大なものなのである。われわれもまた、この人間の歴史の一コマをになっている。だからこそ、どんなことにも、もうこれでいいのだ、もうこれでおしまいだ、などと安易に考えないで、わけ入れば思わぬ道もあるという思いで、日々ひたすらな歩みをすすめてゆきたいと思うのである。
今日は「わけ入れば」です
今日1番良いと思っていることは、明日1番古くなっているというとこである!
これは毎日の仕事に通じます。今日やっている仕事のやり方は実は「1番悪いやり方である!」この考え方はとても重要です。人は仕事のやり方を変えたくありません。なぜなら慣れていて楽だからです。しかし、それでは改善による進歩はありません。出発点である「考え方は」今日のやり方が1番悪い、もしくは1番古いと考える必要があります。そう考えるから、仕事は常に進化できるのです。
役所をみてください。何十年と同じやり方を永遠と続けています。だから進歩がないのです。今年の私のテーマは「破壊と想像」です。まずは毎日の仕事を破壊しなければ次の作り出す作業ができません。今の仕事のやり方がベストなのか常に見直す必要があります。私達のベストのやり方を阻害しているのは、ベターなやり方です。これは最も悪いやり方なら誰もが改善をしようと考えます。しかし、ベターなやり方ならなんとなくこれでいいかと思ってしまいがちなんです。だから、常にベストなやり方が出て来ません。毎日ちょっとでいいので改善、改良を加えてこそ仕事は進化し整理されて行きます。ベターなやり方に満足するのではなく、「今日のやり方が1番古い」という観点で物事をとらえることの必要性を認識し、自分自身の進化、ひいては組織やその上(国の)の進化をとげなければいけないのだと思います。