道をひらく 松下幸之助著
あぐらをかく
一日の精いっぱいの働きを終えてわが家の居間にゆったりとあぐらをかけば、心もくつろぐ。
だから、身を動かすのがついおっくうになり、家人からとかく小言の一つもいわれやすい。
わが家の居間ならそれもよいけれどやたらにあちこちであぐらをかかれたら、周囲の人が迷惑する。じゃまになる。
ましてや、自分の地位や立場にあぐらをかいて仕事の本来の使命を忘れ、自分自身のことにとらわれてなすべきこともなさぬようなことがあったとしたらじゃまや迷惑ですまなくなる。
与えられた仕事が進まないだけでなく、周囲の働きも遅らしてひいては社会の発展をも阻害することになる。
人それぞれの地位や役割というものはそれぞれに担当している仕事を、周囲の人びとと相協力してよりすみやかに、より高く進歩させ充実させていくことによって社会の発展人みなの繁栄に資するために与えられているのである。そんなところであぐらをかいていて、いいはずがない。
おたがいに、自分の仕事を、自分の役割をもう一度よくかえりみてみたいものである。
今日は「あぐらをかく」です。
あぐらをかくとは2つの意味があって、家で床に座って両方の足を前で組んですらんこと!正座ではなくリラックスする座り方。
もう1つは地位などを利用して大した仕事をしないこと、この2つですが、リラックスする座り方は時として必要で、正座をずっとしていると疲れます。なので気安い仲間などの間ではもちろんOKですね。
問題はもう1つの仕事上であぐらをかくことです。仕事上で指示されたことや役割は全て真剣勝負です。忙しいから、重要じゃないから、大した意味がないから、などとやらない理由は沢山あげれるので、これにあぐらをかいて中途半端な仕事をすると周りに迷惑がかかるし、一人でもそのような考え方をする人がいてればチームとしても良いチームにはなれません。
もちろん私自身も立場を利用してあぐらをかくようなことはあってはいけません。常にお互い心の中では緊張感を持って、仕事上はどんな些細なことでもあぐらをかくことなく対応する心がけが必要です。
家ではあぐらをかき、一歩外に出れば正座を心がけることが人としてあるべき姿なのだと思います。チームを乱すようなあぐらのかき方だけは決してしないよう心がけなければならないと思います。常に自分の仕事の役割を正しい姿勢で見直すことを怠りなく!!常に初心を忘れずです!!!
松下幸之助 仕事には哲学をもて
新人社員でも社長にものが言える気風を
一般社員が主任、課長、部長を超えて、直接重役や社長にものを言っても、そのために課長や部長の権威が損なわれることは決してありません。もし課長や部長がそのように考えたり、逆に一般社員が、そう言うことをしたら主任や課長のご機嫌を損なうのではないかと言う恐れをもったりするとすれば、それはもう硬直化を起こしている姿だといえましょう。(「経営心得帳」〈PHP研究所〉昭和四十九年七月)