道をひらく 大事なこと

道をひらく 松下幸之助著

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大事なこと

いかに強い力士でも、その勝ち方が正々堂々としていなかったらファンは失望するし、人気も去る。
つまり、勝負であるからには勝たなければならないがどんなきたないやり方でも勝ちさえすればいいんだということではほんとうの勝負とはいえないし、立派な力士ともいえない。
勝負というものには、勝ち負けのほかに勝ち方、負け方というその内容が大きな問題となるのである。

事業の経営においてもこれと全く同じことがいえるのではなかろうか。
その事業が、どんなに大きくとも、また小さくとも
それが事業であるかぎり何らかの成果をあげなければならずそのためにみんなが懸命な努力をつづけるわけであるけれどもただ成果をあげさえすればいいんだというわけで他の迷惑もかえりみず、しゃにむに進むということであればその事業は社会的に何らの存在意義も持たないことになる。
だから、事業の場合もやっぱりその成果の内容 - つまりいかに正しい方法で成果をあげるかということが大きな問題になるわけである。

むずかしいことかもしれないが、世の中の人々がみんなともどもに繁栄していくためには、このむずかしいことにやはり成功しなければならないと思うのである。

今日は「大事なこと」です。

横綱相撲に例えられているように、勝負に勝ちさえすればいいのではなく、その勝ち方にファンは魅了されるのが横綱相撲だと思います。
仕事も同じで、成果さえあげれば何をしてもいいのかと言うとやはりそうではなく、その成果の上げ方すなわち、努力の方向が正しくなければ勝っても意味のない時があるのかと思います。
商売ですから物を売ることはとても大事な事であるけれども、ではどんな売り方でもいいのかと言うと少し違っていて、お得意先様やお客様ひいては世間の人たちに喜んで買ってもらってこそ社会的な意味ができ、社会的な使命を果たせるのだと思います。
正しいことを正しく行ってその上でお給料の原資である売り上げを頂戴するからこそ商売は意味のあるものになるのだと思います。時たまニュースで不正な事や食肉偽装などが取りざたされている事がありますが、そんな会社は社会的制裁を必ず受ける事でしょう。
会社のコンプライアンスを大事に、きちっとした商品をきちんとした値段で適切に正しく販売し、お客様に喜んでもらえる会社に皆んなで作り上げたいものです。

松下幸之助 仕事には哲学をもて

お客様の番頭になる気持ちで製品を再吟味する

あらゆる製品について、それをお買い求めくださるお客様の立場に立ち、お客様の番頭になる気持ちで、性能、品質を試し、再吟味してみる。工場側においてそうであると同時に、これを販売する営業部門においても、同様の気持ちで厳格に検収して、もし一点でも不満足なところがあれば、工場に返品して再検討を求めるということでなければならないのであります。こうして、すべて良品にしなければならないという要望ば強まれば強まるほど、工場における良品生産も促進されることになり、さらに信念に満ちた製品が提供されることとなるのであります。(昭和二十七年一月十日・松下電器経営方針発表会)

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