「道をひらく」 松下幸之助著
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心の鏡
自分の身なりを正すためには、人はまず鏡の前に立つ。鏡は正直である。
ありのままの姿を、ありのままにそこに映しだす。自分のネクタイは曲がっていないと、がんこに言い張る人でも、鏡の前に立てば、その曲直(きょくちょく)は一目りょうぜんである。
だから人は、その過ちをみとめ、これを直す。身なりは鏡で正せるとしても、心の歪みまでは映しだしはしない。
だから、人はとかく、自分の考えやふるまいの誤りが自覚しにくい。
心の鏡がないのだから、無理もないといえばそれまでだが、けれど求める心、謙虚な心さえあれば、心の鏡は随処にある。自分の周囲にあるもの、いる人、これすべて、わが心の反映である。
わが心の鏡である。
すべての物がわが心を映し、すべての人が、わが心につながっているのである。
古(いにしえ)の聖賢は「まず自分の目から梁を取り除けよ」と教えた。
もうすこし周囲をよく見たい。もうすこし、周囲の人の声に耳を傾けたい。
この謙虚な心、素直な心があれば、人も物もみなわが心の鏡として、自分の考え、自分のふるまいの正邪(せいじゃ)が、そこにありのままに映し出されてくるであろう。
今日は「心の鏡」です。
とかく社会人になって大人になっていくと心に垢がたまっていきます。
そのアカを常に洗心しないと落ちていきません!その為には常に自分の物差しだけでなく、他人様に指摘されることを素直な心で聞き、常に初心に帰ることが大事なんだと思います。
そうする事によって心にたまった垢がなくなって良い心になるんだと思います。
松下幸之助 仕事には哲学をもて
相手に喜びや安心を与える
私は販売というのは、値段だけではなくして、製品にもむろんものをいわさなくてはなりませんけれども、やはり販売の仕方、考えというものが、相手を納得せしめる、単に納得させるだけではなくして非常な喜びを与える、安心を与える、そうしてその人の活動を高めるところまで持っていくものだ、ということを考えさせられるのであります。
(昭和32年10月29日・近畿地区ナショナル有力連盟店懇談会)