道をひらく 松下幸之助著
虫のいいこと
人間はとかく虫のいいことを考えがちで雨が降っても自分だけはぬれないようなことを日常平気で考えている場合が多い。
別に虫のいいことを考えるのがいけないというのではないが虫のいいことを考えるためにはそれ相応の心がまえが必要なのである。
雨が降ったらだれでもぬれる。これは自然の理である。
しかし傘をさせばぬれないでもおられる。これは自然の理に順応した姿である。素直な姿である。
だから、自然の理をよく見きわめてこれに順応する心がまえを持ったうえならばどんなに虫のいいことを考えてもかまわないけれど傘も持たないで自分だけはぬれないような自然の理を無視した虫のいいことを考えているならばやがてはどこかでけつまづく。
けつまづいてもかまわないというのなら何もいうことはないけれど人はとかく、けつまづいたその原因を他人に押し付けて自分も他人も不愉快になる場合が多いからやはり虫のいいことは、なるべく考えないほうがいい。
おたがいに忙しい。
忙しいけれど、ときには静かに自分の言動を自然の理に照らしてはたして虫のいいことを考えていないかどうかを反省してみたいものである。
今日は「虫のいいこと」です。
とかく人間というものは人のせいにしたがることが多いように思います。
私の親父は人のせいにするのが大嫌いで、よく小さい時に叱られました。
叱られる時には必ず「つまずいて転んで石のせいにはしてはいけない、つまずいた石に気がつかなかった自分のせいなんだ」とよく言われました。
やはり人というものは他人のせいにしがちです。その方が楽だし反省も必要ないんだと思います。
しかし、「自責に進歩あり、他責に進歩なし」と言われるようにやはり、他人のせいにしているようでは進歩がないのだと思います。どんなことでも100対0で他人が悪いということはないのではないかと思います。
少なからず(1%でも)なんらかの自分の責任はあるはずです。
ならば他人のせいにするのではなく、少しでも自分のせい(いわゆる自責)だと考えて反省し行動を変える勇気が必要だと思います。そんな自責と考える気持ちからは、次の進歩が生まれてくるのでしょう!ただあまり、自責の念にかられるとしんどいこともあるので出発点は自責!反省をしっかりと行ったら気持ちを切り替えて前を向く!このような気持ちが大事なのではないかと思います。
松下幸之助 仕事には哲学をもて
製品の心を訴えるデザインを研究する
製品作りの基本は、需要者に喜ばれるものをつくることに尽きると思います。生産者はひたすらこのことに魂と傾注しなければなりません。デザインも、この製品づくりの基本に立って、研究されなければならないと思います。
製品が訴えてくるもの、いわば製品の心を強く感じさせるもの、この点がデザインを通して見事に表現されている製品こそが需要者に選ばれ、かつ、喜ばれる時代になったのではないでしょうか。(「松下のかたち」(松下電器)昭和五十五年五月)