道をひらく 松下幸之助著
熱意を持って
経営というものは不思議なものである。仕事というものは不思議なものである。
何十年やっても不思議なものである。それは底なしほどに深く、限りがないほどに広い。
いくらでも考え方があり、いくらでもやり方がある。
もう考えつくされたかと思われる服飾のデザインが、今日もなおゆきづまっていない。
次々と新しくなり、次々と変わってゆく。そして進歩してゆく。ちょっと考え方が変われば、たちまち新しいデザインが生まれてくる。
経営とは、仕事とは、たとえばこんなものである。しかし、人に熱意がなかったら、経営も、そして仕事の神秘さは消えうせる。何としても二階に上がりたい。
どうしても二階に上がろう。この熱意がハシゴを思いつかす。
階段をつくりあげる。上がっても上がらなくても—-そう考えている人の頭からは、ハシゴは出てこない。才能がハシゴをつくるのではない。やはり熱意である。
経営とは、仕事とは、たとえばこんなものである。不思議なこの経営を、この仕事を、おたがいに熱意をもって、懸命に考えぬきたい。やりぬきたい。
今日は「熱意を持って」です。
人間の能力(スキル)や知識にはそんなに差がないと思います。差があるとすればそれはすなわち熱意だけだと思います。
熱意それはすなわち熱い意思。成功するまでは絶対に諦めないとう熱い意思です。数字や仕事に失敗する理由の唯一つは「諦める」からだけです。私もかつて色々と失敗をしました。
その原因は何か?と問われたら、諦めたから!だけだと思います。
「あきらめない限り人生に失敗はない」これは会社のホームページに書いている私の座右の銘です。
成功なんてものはある意味簡単です!諦めなかったらいいんです!そこには知恵やアイデアが必ず出てきます。知恵やアイデアが出ないのはなぜか?これも簡単です!諦めるからです。そうやって人間は諦めずに物事を進めてきたから、文明は進化し続けて行けるのだと思います。
会社は進化し続けなければ衰退します。ぜひ、ひとりひとりがこの熱意を心に秘めて日々人生や会社の成功を掴んで欲しいと切に願います!
松下幸之助 仕事には哲学をもて
素人になって商品を使ってみる
使う人はみな素人であり乱暴な使い方をする、我々の常識では考えられないようなことをする。そういうことによって生まれる故障も不良として返ってくる。ですから、つくった人は、つくった技術を忘れて素人になって、それを使ってみるということができるかどうか。それができればだいぶ不良が少なくなると思うのです。(昭和四十五年二月十六日・松下電器経営幹部社員への講話)