道をひらく 松下幸之助著
追求する
月に向けてロケットを発射する。轟音とともにたちまち天空高くとび立って、もはや人間の目にはとどかない。しかし追跡装置が完備して、どこまでもこれを追う。何千キロ何万キロ、月の表面に至るまで、刻々にこれを追う。追求する。
だからこそ、ロケット発射の意義がある。成果がある。追求しなければ何の意味もなし。射ちっ放し、消えっ放し、浪費以外の何ものでもない。
人間社会の人間同士の間でもこれと同じこと。人が人に事を命じる。指示する。頼む。しかし、命じっ放し、指示しっ放し、頼みっ放しでは、何の意味もない。何の成果もあがらない。
命じたからには、これを追求しなければならぬ。どこまでもトコトン追求しなければならぬ。それが命じた者の責任ある態度というものであろう。
追求される方も容易でないが、追求する方もほんとうは大へんである。ロケットを追跡する以上の配慮がいる。根気がいる。しかし、ともすればあいまいにすごしがちな日々、追求する方もされる方も、おたがいにこれほどの覚悟を持ちたい。勇気を持ちたい。
今日は「追求する」です。
仕事上よくあることに、指示しっぱなし、受けてほったらかし、やりっぱなしなどの事がよく行われます。
指示をしたらした人は、その指示がどうなっているのかを最後まで追求する必要があります。
受けた人は、いつも言っている通り報連相を使ってしっかりと終わったことを追求される前に自分自身で追求し忘れず最終報告まで追求していくこと。
やりっぱなしは特にひどい仕事のやり方で、やった限りはその結果がどうなのかをPDCAを回し追求していかなければ次の進化がありません。
また、何事も物事を深く追求することで仕事の成果も変わってきます。子供の時を思い出して、どんな小さなことでも「なぜ」「この結果はどうしてこうなるのか?」と純粋な心で追求して行く事が大事な事だと思います。
松下幸之助 仕事には哲学をもて
デザインの基礎は実用性である
私はデザインには深い知識もございませんが、私なりに考えますのに、デザインの目的と申しますか、デザインが向上していくということは、どこにその狙いがあるかと申しますと、お互いの人間生活をよりよく、より高く、より幸せにするところに、デザインのデザインたる狙いがあろうと思うんであります。したがって、すぐれたデザインとかりに考えられる物がありましても、その根底にはどうしても実用性ということが加味されておらなければならない。どこかにそのデザインが実用的に生きるということが無視されておったならば、それははたしてグッドデザインかどうか疑問だという感じがするんであります。(昭和三十六年十一月十六日・関西デザイン会議)