道をひらく 自然とともに

「道をひらく」 松下幸之助著

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自然とともに

 春になれば花が咲き、秋になれば葉は枯れる。草も木も野菜も果物も、芽を出すときには芽を出し、実のなるときには実をむすぶ。枯れるべき時には枯れてゆく。自然に従った素直な態度である。そこには何の私心もなく、何の野心もない。無心である。虚心である。だから自然は美しく、秩序ただしい。困ったことに、人間はこうはいかない。素直になれないし、虚心になれない。ともすれば野心が起こり、私心に走る。だから人々は落ち着きを失い、自然の理を見失う。そして出処を誤り、進退を誤る。秩序も乱れる。

時節はずれに花が咲けば、これを狂い咲きという。出処を誤ったからである。それでも花ならまだ珍しくてよいけれど、人間では処置がない。花ならば狂い咲きですまされもするが、進退を誤った人間は、笑っただけではすまされそうもない。自分を傷つき、人にも迷惑をかけるからである。

人間にとって、出処進退その時を誤らぬことほどむつかしいものはない。それだけに、時には花を眺め、野菜を手に取って、静かに自然の理を案じ、己の身の処し方を考えてみたいものである。

 

今日は「自然とともに」です。
自然体で他人と接する事。自分を飾らないようにすることで、変なストレスからは解放されるはずです。自己顕示欲が強い人は、周りから良く思われようとして神経をすり減らしてしまいます。
大自然の摂理の中で、逆らわず自然体で生きることはとても大事なことなのだと思います。

松下幸之助「仕事には哲学をもて」

道行く人々は全部お得意先さんである

 最近は、皆さんもご承知のように世間のほとんどすみずみまで。いかなる人といえども、我が社のものを買って下さっております。またどんな商売においても、何らかのかたちで、我が社の製品をが使っていただいているわけであります。
 だから、道行く人々は全部お得意先さんであり、我々のつくったものを、全部買って下さっているわけです。
お互いに顔見知りでないから、道ですれ違ってもものは申しませんが、知っておったら「毎度ありがとうございます」と頭を下げなければならないとことであります。そういう人ばかりなのであります。
(昭和34年1月10日・松下電器経営方針発表会)

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