道をひらく 人事をつくして

道をひらく 松下幸之助著

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人事をつくして

 「人事をつくして天命をまつ」ということばがある。まことに味わい深いことばである。
私心にとらわれることなく、人としてなしうる限りの力をつくして、そのうえで、静かに起こってくる事態を待つ。
それは期待どおりのことであるかもしれないし、期待にそむくことであるかもしれない。
しかしいづれにしても、それはわが力を超えたものであり、人事をつくしたかぎりにおいては、うろたえず、あわてず、心静かにその事態を迎えねばならない。
そのなかからまた次の新しい道がひらけてくるのであろう。
こうした心境の尊さを人はみなが知り、その境地をかみしめつつ、それぞれの人が、それぞれのつとめをつくしたならば、この世の中は、もっと静かになるかもしれない。
天命とは、これだけのことをつくしたから、これだけの結果があたえられるという、そんな計算の成り立つものではない。
まして、私心多くなすべき人事をつくさずに、いたずらに都合よき成果のみを期待するのは、天命を知らざることはなはだしいといわねばなるまい。
めまぐるしい利害の波の日々の中ではあるけれども、時にはおたがいに三省してみたいものである。

今日は「人事をつくし」です。すきな言葉のひとつに「人事を尽くし天命を待つ」があります。
自分にとって良い結果を得ようと思えば、先に必ずやるべき事をしっかりとやる、つまり人事を尽くさなくてはなりません。
しかし、人事を尽くせばその結果がどうあろうと、それは天命なんだかいう心で結果を待つ姿勢も大事なんだと思います。

松下幸之助 仕事に哲学をもて

利益と使命

 頂戴した利益は無意味にこれを使うわけやない。よりよき再生産のためにこの資金を使っていく。その一部は従業員の生活向上に回す。一つは設備に回す、一つはまた、社会へ還元していろんな寄与にもする。そして社会生活が国民全体、社会全体として増進していくために、この会社は大きな役割を受け持っている、そういう尊い使命があるために、利益を求めるということが許されるわけである。(昭和34年5月28日・松下電器新入社員への講和)

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