道をひらく 松下幸之助著
自分の仕事
どんな仕事でも、それが世の中に必要なればこそ成り立つので世の中の人々が求めているのでなければその仕事は成り立つものではない。
人々が街で手軽に靴を磨きたいと思えばこそ靴磨きの商売も成り立つのでさもなければ靴磨きの仕事は生まれもしないであろう。
だから、自分の仕事は自分がやっている自分の仕事だと思うのはとんでもないことでほんとうは世の中にやらしてもらっている
世の中の仕事なのである。
ここに仕事の意義がある。
自分の仕事をああもしたい、こうもしたいと思うのはその人に熱意があればこそで、
まことに結構なことだが自分の仕事は世の中の仕事であるということを忘れたらそれはとらわれた野心となり、小さな自己満足となる。
仕事が伸びるか伸びないかは、世の中がきめてくれる。
世の中の求めのままに自然に自分の仕事を伸ばしてゆけばよい。
大切なことは世の中にやらしてもらっているこの仕事を誠実に謙虚にそして熱心にやることである。
世の中の求めに、精いっぱいこたえることである。
おたがいに、自分の仕事の意義を忘れたくないものである。
今日は「自分の仕事」です。
世の中に必要でない仕事は存在しないし、必要でない人も存在しません!
「仕事に貴賤(きせん)はない」という言葉を聞いたことがあると思うのですが、どんな仕事も立派な仕事だと思います。
なのに、こん仕事はつまらないだとか、面白くないだとか、やめたいなんて言葉を耳にすることがあります。
仕事は自分のためにやっていると思ってるうちは本当の楽しさを理解できていないのかも知れません。
仕事は社会のために必要であるからやっているのです。自分のアイデアや考えで少しでも安く、少しでも早く、少しでもいいものを世の中に出すことができます。
そんな世の中の人に役立つ仕事を常に心がけてやっていると自ずとその仕事は人々から必要とされ感謝され自然に伸びていくものではないかと思います。
そんな仕事を世の中の人にやらせてもらってるという感謝の気持ちが必要なんだと思います。
やってやる!ではなく、やらせてもらってる。その心で世の中の人達が本当に評価していただいた仕事をしていると、世の中の人が、「この会社を伸ばしてやろう!」と私たちの商品を買ってくれるのだと思います。
そんな商品やサービスを世の中に感謝の気持ちで提供できる会社を作ろうではないですか!!そしてその中の人達に会社を伸ばしてもらおうではないですか!それが私たちの使命(ミッション)なんだと思います。
松下幸之助 仕事には哲学をもて
新製品をライバルと考えて
かりに画期的な製品を開発したとしましても、それで事足れりとしていてはいけません。いわばその製品は他社が開発したものだというように考えて、それを上回る次の製品を考え、開発しておく、そして必要に応じてそれを市場に出していくというように、製品開発の面でのダムというものも必要でしょう。他社の製品を見てそれから考えるということも現実にはあるでしょうが、それに終始しているようなことではいけません。(「私の夢・日本の夢 21世紀の日本」〈PHP研究所〉昭和五十二年一月)