道をひらく 恵まれている

道をひらく 松下幸之助著

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恵まれている

人間というものはまことに勝手なもので、他人をうらやみそねむことがあっても、自分がどんなに恵まれた境遇にあるかということには案外、気のつかないことが多い。
だからちょっとしたことにもすぐに不平が出るし不満を持つのだが 不平や不満の心から、よい知恵も才覚もわきそうなはずがない。
そんなことから、せっかく恵まれた自分の境遇もこれを自覚しないままにいつのまにか自分の手でこわしてしまいがちである。

恵みにたいして感謝をし、その感謝の心で生き生きと働いたならば
次々とよい知恵も生まれて自他ともにどんなにしあわせな暮らしができることか思えば愚かなことである。 

だが恵みを知ることは、そう容易なことではない。
古来の聖賢が、恵みを知れ、と幾万言を費やしてきても実感としてこれを受け取る人はどれだけあるのだろう。頭で理解はしていても、心に直接ひびかないのである。
そこに人間の弱さがある。おたがいに修業をしよう。
自分は恵まれているということを、直接自分の心にひびかすために 日常の立居振舞に今一度反省を加えてみよう。

今日は「恵まれている」です。

禅語に「少欲知足」(しょうよくちそく)と言う言葉があります。
これは欲を少なくして、足るを知ると言う教えで、すでに足りていることを知りなさいと言うことです。人間の欲というのは果てしたく、あれも欲しいこれも欲しいとなることが多いものです。
欲しいものが多くなるから悩んだり苦しんだりするのです。そんな時に現状に満足し足るを知る心を持つことで心が落ち着き、感謝の気持ちが出てくるのだと思います。
またもう1つ「日々是好日」(ひびこれこうじつ)または(にちにちこれこうじつ)です。谷口さんの年初の色紙にも書かれていましたが、どれだけ不満な日や嫌な日があっても、「今日はいい日だ」と受け入れれる心があれば毎日が恵まれていると言う感謝の気持ちで平穏に迎えることができるのだと思います。「少欲知足」「日日是好日」どちらも実践・習慣とするには少し時間が必要なんだと思いますが、どんな状況にあろうと、私は「同僚に、お得意先様に、上司」に「恵まれている」という感謝の気持ちを忘れなければ毎日を有意義にまた日々多くの気づきを得ることではないかと考えます!一期一会です!今日という日な2度と来ません!日日是好日の心で過ごしたいものです!

松下幸之助 仕事には哲学をもて

組織よりも「人」

組織を変えて人を使うか、組織をそのままにして、それに合う人をもってくるか?・・・ある場合は組織をとる。ある場合は人をとる。現実の問題としては、ケース・バイ・ケースでしょうな。しかし、ぼくは、それでも人のほうが大事だと言うふうに思いますね、人によって組織を変えねばいかん。組織はある程度自由に変えられますな。人は自由に変えるわけにはいかんでしょう。(「30億」昭和五十一年五月号)

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